2011年12月21日水曜日

11月4日

ゆかちゃんの個展会場で、
きょうはゆかちゃんのお誕生日だから、
誕生日と個展の開催を同時に祝うパーティなのだった。

ゆかちゃんの描いた絵に、山が3人姉妹になっているのがある。
そういえばゆかちゃんも3人姉妹なのだった。
わたしも、3人姉妹の絵を、どうしても描いてしまう。
タツミさんがやってきて、
「タツミも3人姉妹なのよ でもほんとうは4人で、一人死んでるらしいんだけど」
というと
ゆかちゃんも「うわ 私んとこもそう」
なんて言っている。
わたしはグラスにつがれたビールを少しのんで、すでに酔ってきたあたまでそういう話をきいていた。

3、3、3。あっちもこっちも3。

黄色みがかったうすい光につつまれて、みどりちゃん、チサトちゃん、あかねによるショウ。
パーティが本格的にはじまる。
床にとどきそうなくらい長い髪のかつらをつけて、
5th ディメンションの「アクエリアス」ではげしくおどる、
これもまた3人のおんなたち。
途中であかねのかつらが落ちた。
かつらが落ちても、もともととても長い髪、それをふりみだしておどるあかね。

柳田の司会でゆかちゃんがあいさつをする。
「今年は震災もあり その上にしたしい友人もなくなって もうどうしたらいいかわからなくなったけど」
という出だしに、柳田の目がうるんでる。わたしたちも同じ。

だけど、昨日で百箇日だったんだって。
それは、泣くことをやめる日なんだって。
そして、ちょうど101日めに、また皆で会って、こうして、ゆかちゃんの誕生日を祝っている。
なんてうまくできてるんだろう。

あのひとは、40歳のままいなくなってしまった。
今日、ゆかちゃんが40歳になった。
そして、ゆかちゃんよりもまた先輩のタツミさんがゆかちゃんにメッセージを送った。
タツミさんのいまいる地点からの、勇気のわくメッセージだった。
タツミさんのまわりにいるひとたちは、ずっとにこにこと、
からだの芯から自然に、たえることなくわきでてくるような笑顔をしている とおもった。

パーティがおわってから、さえ子さんとひさしぶりにお酒をのんだ。
わたしはさえ子さんと一緒にのめるのがうれしくてうれしくて、
ずっと、にたにたしていたかもしれなかった。
さえ子さんが思いがけなくあたらしいヘアスタイルをほめてくれて、
心はさらに、にたにたにたにた としていた。

2011年12月4日日曜日

11月3日

社長の企画したあたらしいインテリアブランドの内見会がせまっていて、
事務所はてんやわんやである。
といっても、てんやわんやしているのは社長と、龍くんと、わたしの3人なんだけど。

わたしは、いちにちひたすらミシンがけ。
会場のパーテーションとしてつかう布を縫っている。
ミシン糸を70mくらいつかったように思う。
社長が買ってきてくれていた、10個入りのドーナツを、
銘々に、おなかがすくたびに食べた。
10個入りのドーナツは、なかなか、重宝した。

終電を目標にがんばったけれどまにあわず、
3人とも、しょぼしょぼとした眼をして、
なんとなくしみじみと最後のドーナツを食べてから、
タクシーで帰った。

11月2日

こうして、日記を書く ということについて。

なにかひとつ目的があって書きはじめたわけではないのだけれど、
1日ぶんの日記を書くということが
わたしのイメージのなかでは、どんなことかというと、
地球のようなまるい球体に、
ちょうど経度や緯度にあたるような線をひいたとして、
そのうちのどこかの線上に一個の点を打つことと、
似ている気がしている。

今日はだいたいこのへんのこのあたり。
昨日はもっとあっち寄りだった。

そんな感じでいっぱいの点を打っていくと、
いつか、まんまるい球体ができるだろうか、
などというふうに思っている。

「きょうはこんなにだめな自分でいやな気持ちの日だけど、
まあ、これもまるい球体の一部なんだからな。」
って思えれば、いいかな、などと思って、書いている日も、ある。

11月1日

洋裁学校にて、スカートの裏地を縫った。
裏地をこんなに真剣にカットしたり縫ったりしたのは初めて。
裏地って、なんてあつかいがむつかしいんだろう。
ぴっちりと待ち針で型紙を留めていても、
カットする鋏のさきからつるつると逃げて、
いびつなカーブとがたがたの端っこにぎっくりさせられる。
意地悪い。
こんな生地でも、あつかいに慣れたら、うつくしく裁断することができるようになるんだろうか。
うつくしく裁断できるようにはなりたいけれど、
わたしはあんまり、あの、裏地の素材というものがすきではない。
できるなら、個人的にはあんまりつかいたくないんだ、ほんとのところは。
そんなちょっとした葛藤をおぼえながら、
だけどこれは勉強だから、眼をぎっとひらいて、裏地を裁断し、アイロンをかけ、ミシンで縫った。
真剣に。
真剣すぎて、酸素が足りなくなったりした。

10月31日

インターネットででまわっていた情報によると、
わたしはこの世界で78,438,474,360番目にうまれた人間ということになるらしい。

七百八十四億三千八百四十七万四千三百六十番目。
ななひゃくはちじゅうよんおくさんぜんはっぴゃくよんじゅうななまんよんせんさんびゃくろくじゅう番目。

なんばんめにしぬのかは、しらない。

今日は、布を9m20cmぶんプリントした。

10月30日

髪を切りにいこうかな、と思ってお財布をあけてみたら、
ぜんぜんお札が入っていないので、
すこしだけ考えたあげく
じぶんで切っちゃえ
ということになった。

ちかごろ、美容室にいっても、どんなふうにしたいかのよくわからなくって、
切ってもらったあとも「これでよかったのかなあ・・・まあいいや」
とおもっていることが多くなっていたのだけど、
じぶんで切れば、ちょっとずつ、迷いながら、さぐっていけるような気がしたのだった。

途中で、もうどうしようもないがたがたの髪型になってきてしまったように見えて
きもちがくらーくなったのだけど、
髪をあらってかわかしたら、髪のくせのながれにたすけられて、
自分で切ったにしてはそこそこうまく切れたように見える髪型に、なった。

なんとなく、いまの自分に、合っている気がする。

それで、ちょっと気分をよくしたのだった。