2011年5月31日火曜日

5月30日

午前2時ごろ、はなちゃんのルームメイトのいちこちゃんが帰って来た。
3時頃、やっぱり少しだけ眠ったほうがいいのでは、ということになって眠る。
嵐が来ていて、びゅううびゅううばしゃんばっしゃんという壮大な音がする。
5時に目覚ましが鳴り、全員どんよりした感じで起き出す。
迎えの車がやってきて、あっけなくはなちゃんを見送る。
徹夜で制作していた田口くんも出てきた。

「見送ってしまうと、『行ってしまった感』が強まるなあ」
「部屋ががらんとしてるなあ」とぼんやりと言い合い、もう一度眠った。

起きると、さらに声が出なくなっていて、出そうとすると変に大きな声と囁き声が、とぎれとぎれに出て来る。
皆心配するけど、私はわりに平気。

「もしもこのまま、声が出ないひとになったらどうしようかなあって考えてた。筆談するか、手話にするか」
「手話って、国によって違うんでしょう?」
「うん、それにさ、もし私だけが手話で話しても、皆意味わかんないね」
「そっか、僕らも手話を覚えないといけないんだ」
「ふふ、まあ、治るでしょう」
「まあ、治るんだけどね」
「治ってさ、なんか良い声、すっごい周波数の声にかわったりしてね」
「ホーミーみたいな? 笑」
「それで、ひとの病気が治せる、とか 笑」

はなちゃんがいなくなって、さみしい気持ちの私たちなのだが、
みんなで遅い朝ご飯をたべるので楽しい気持ちもまじってくる。
嵐は去って、すっきりとした空気とあかるい日差しの入ってくる部屋。
なんとなしに、みんな、変わり目をむかえているみたいな気がするね と言い合った。
晴れてあたたかくなった日だまりのなか、壊れた傘を持ち、レインブーツで帰る。

ちかごろタロットカードのことをすこしずつ調べている。
そのなかで“The Fool's journey”という概念(概念っていうんだろうか)に出会って、
これはとてもいいなあと思ったので、ブログのタイトルに使わせてもらった。
また気持ちがかわったら、変えるかもしれないけれど。

夜、ついに声がでなくなり、咳がいっぱい出る。だけど、わりに平気。
咳が出るのがだいじな気がするので、出しておく。

The Fool