ゆかちゃんの個展会場で、
きょうはゆかちゃんのお誕生日だから、
誕生日と個展の開催を同時に祝うパーティなのだった。
ゆかちゃんの描いた絵に、山が3人姉妹になっているのがある。
そういえばゆかちゃんも3人姉妹なのだった。
わたしも、3人姉妹の絵を、どうしても描いてしまう。
タツミさんがやってきて、
「タツミも3人姉妹なのよ でもほんとうは4人で、一人死んでるらしいんだけど」
というと
ゆかちゃんも「うわ 私んとこもそう」
なんて言っている。
わたしはグラスにつがれたビールを少しのんで、すでに酔ってきたあたまでそういう話をきいていた。
3、3、3。あっちもこっちも3。
黄色みがかったうすい光につつまれて、みどりちゃん、チサトちゃん、あかねによるショウ。
パーティが本格的にはじまる。
床にとどきそうなくらい長い髪のかつらをつけて、
5th ディメンションの「アクエリアス」ではげしくおどる、
これもまた3人のおんなたち。
途中であかねのかつらが落ちた。
かつらが落ちても、もともととても長い髪、それをふりみだしておどるあかね。
柳田の司会でゆかちゃんがあいさつをする。
「今年は震災もあり その上にしたしい友人もなくなって もうどうしたらいいかわからなくなったけど」
という出だしに、柳田の目がうるんでる。わたしたちも同じ。
だけど、昨日で百箇日だったんだって。
それは、泣くことをやめる日なんだって。
そして、ちょうど101日めに、また皆で会って、こうして、ゆかちゃんの誕生日を祝っている。
なんてうまくできてるんだろう。
あのひとは、40歳のままいなくなってしまった。
今日、ゆかちゃんが40歳になった。
そして、ゆかちゃんよりもまた先輩のタツミさんがゆかちゃんにメッセージを送った。
タツミさんのいまいる地点からの、勇気のわくメッセージだった。
タツミさんのまわりにいるひとたちは、ずっとにこにこと、
からだの芯から自然に、たえることなくわきでてくるような笑顔をしている とおもった。
パーティがおわってから、さえ子さんとひさしぶりにお酒をのんだ。
わたしはさえ子さんと一緒にのめるのがうれしくてうれしくて、
ずっと、にたにたしていたかもしれなかった。
さえ子さんが思いがけなくあたらしいヘアスタイルをほめてくれて、
心はさらに、にたにたにたにた としていた。