昼3時に出勤し、ひたすら印刷をする。
お得意先さんのいつものおなじみのお二人、谷口氏と赤松氏もやってくる。
おふたりが揃うとどうにも、弥次さん喜多さんの珍道中を目の当たりにしている気分になるようなやりとりが展開される。
関西の商売人の性なのだろうか??
そういうわけで、人生のずいぶん先輩にあたるかたがたなのだが、
こころのなかでひそかにこのおふたりを弥次喜多コンビとよんでいるのだった。
しかしそんなおふたりの気質のおかげで、とてもほぐれた気分で一緒にお仕事ができるというのも、ほんと。
社長と龍くんと終電にすべりこんだのはよいが、
わたしは降りるべき駅をのりすごしてしまい、
いつもとちがう路線に乗り換えて帰ろうとしたら、
そこでもまたホームをまちがえて電車に乗ってしまった。
家から離れた駅で降り、
知らない道を歩いた。
ひとけはなく、車道に申し訳程度についている、暗くさびれた感じの歩道を歩く。
ああ、道の選択を失敗した とおもう。
すぐ横を通り過ぎて行くのはバンばかり。
もしもここで車にのせられてしまったら、かえってこれないかもしれないな と
いやな想像ばかりして、早足になるのだけれど、
家までの距離がわからないから、走ってしまうわけにもいかず。
体はそうとうおびえていたらしく、足の力がぬけそうになってきた。
そのまま、ふかい後悔とおそろしさとともに、
胸をどくどくいわせて、できるかぎりの早足で歩き、
ようやく、知っている景色にたどりついたときというのは、
異世界からワープしてもどってきたかのような気分。
こんなにぞっとしたのは、ひさしぶり。