「うん」
「あ 交野も浴衣や。あれ 龍くんも浴衣やん。」
「うん 約束してたから」
「約束してたんや」
「うん」
「あれー ねこさん、なんで普通のかっこしてんの。俺もそんなんがよかったわー、
暑っついねん!」
「あーほんまや、ねこさん、浴衣ちゃうやん」
「浴衣って、知らんかってん」
「ねこさんには言ってなかってん。暑いからむりやろうと思って」
「そうやなー 浴衣着てたら、たぶんいまごろ うぇぇ〜っ、なってるなあ」
うちの屋上からむこうのほうの空に毎年みえる花火をみた。
ちょうど西風がふいて、今年はよくみえた。
音って秒速どのくらい?350mとか?
温度によってかわる。・・・今だったら340mから350mの間かな。
去年は、雨がぽつぽつ降ってたよね。雷も鳴ってたし。
あのとき誰々がこんなこと言って。
あいつ、おおげさやねん。
あんな形のは、今年はじめてみるよねー
あれ、ぜったい、ヴィクティムやって!
ヴィクティムって凄い名前
今年の色は、ちょっと青みがかってる気がする
ぜったい、青い系の色をあたらしく見つけたんやわ
スミレいろがきれい
なんか、すずしくなったね
風があるね
あ これ好き
これ いいね
屋上に生ったいちぢくをみんなで分け合って食べた。
ぶらぶらと駅まで歩いて見送った。
龍くんは、下駄をはいた足を痛がっていた。
夜にメールをしていたら、とてつもなくかなしさがこみあげてきて、
どうしようもなくなった。
「なにがかなしい?」
「ちょっと待って かんがえるから」
「はいはい」
よくかんがえて、とりつくろわないで、はなしていたら、ちょっとずつおちついてきた。
それで、すこし、すくわれた。