夕方、いつものお得意先の谷口氏がやってきた。
チラシにはさみこむ案内状をハトメでとめる作業をみんなで手分けしておこなう。
わたしはまだ終らないチラシの印刷にかかりながら、
別の机で、別の作業を。
机の回りに三角形になって座り、さくさくと作業をすすめる社長や谷口氏。
「誰も、こんな地道な作業でこの案内状作ってるなんて、想像しないですよね」
「こういうの、たのしい」
と言いあう。
おおきい谷口氏が、せなかをまるくしてちょこんと座って、ハトメをかちゃかちゃやっている。
谷口氏「ピーコちゃん、学校にいきはじめたんやって?」
わたし「うん、そうなんです。きのう初めての授業でね。
生徒が4人だけだったんですけど、みごとに全員バラバラで。
だいぶん年配の女の人が一人と、20代の若い女の子が一人、
20代の男の子が一人、それで、わたし、中年。」
谷口氏「中年て。」
わたし「よかったです。わたし以外が全員若い女の子やったらちょっと嫌かも、と思ってたから」