いりぐちの植物たちがまたも弱っていた。
店のあるじはさぞかし疲労困憊しているのだろう、どんな1週間だったのだろうなどとおもいながら、
すっかり枯れてしまったものを抜き、
水涸れしているものにたっぷりと水をやり、日陰へうつした。
少しおもてに水をまく。
午前中はあまりお客がみえず、うりものの絵本をみたり読んだりした。
絵本がたくさんあって、お客さんに尋ねられると必死でさがさねばならないので。
この本が気にいった。いつからあったのか。こんな本をおいていたことに気がつかなかった。
午後から、はじめて会うスタッフの人がきた。
かんじのいい人で、
このひとが私に直接なにかすごいことをするわけじゃないが、とてもはたらきやすくなった。
「いままで入ってみたいなといつも思っていたけど、なかなかこられなくて」
「気になっていたんだけど、いつも素通りしてしまって。はじめてきました」
というお客さんがおおく、
大人もこどももいっしょにサンプルのおもちゃやゲームで遊んで、
感動したり楽しんだりしまくって、
気に入ったのを買ってくれて、満ち足りて「またこんどきます」と帰っていった。
「わあ かわいいー」とか、「わーー、これはおもしろいね!」とか。
なんて純粋にたのしみをみつけてあじわえるひとたちなんだろう。
きっとまたあのお客さんたちがきてくれるだろうから、
まだお店は続けていかれるにちがいない。
帰り道、いつもとちがうことに気がついた。
頭痛していない。
初めて会ったあのひとが、究極にリラックスさせてくれたからじゃないだろうか。
そのひとも、ここではたらくのは今日だけだと言っていた。
店をしめるために必要だった鍵、かえさなきゃならない。
店のあるじに会わないままつとめていたの、妙だったな。
キーホルダーに2つの仕事場の鍵がぶらさがっているというのも、妙なものだったな。