みのりちゃんのいる台湾へ、絵を送った。
春にみのりちゃん夫妻がうちに数日滞在したとき、
わたしのアトリエをみてくれて、この絵を気に入ってくれたのだ。
キャンバスをぴったりとくるめるように、段ボール紙を切り、テープでとめていく。
みのりちゃんはどんなお家に住んでいるのだろう。
どんなふうに、お家にかけられるだろう。
どうか、無事につくように。
あのとき、夫婦でわたしの絵をひとつひとつ大事に見てくれたことを思い出す。
あのとき、わたしのアトリエのなかに、ふたりのやさしい温度が充満した。
みのりちゃんがキャンバスをもってこの絵をじっとみつめていたときの、
白いやわらかい手が目に浮かんだ。
夕方、洋裁学校へ行く前に、ひとりでお茶を飲んで、いろいろなことを考えた。
授業が終ってからも、またひとりでお茶を飲みに行って、いろいろなことを考えた。
考えごとをするには、お茶を飲みにいくのがわたしにはいちばん、いい。
まわりにたくさん人がいるにもかかわらず、なぜかはかどるのだった。