2012年2月19日日曜日

12月23日

夕方まえに家を出る。
京都に着いたらもう、あたりは暗がりと化していて、
ああ、これはまた、道にまよってしまうパターンである とあおざめた。
わたしはいわゆる方向音痴で、地図があってもまようときはまよってしまう。

つまり、「地図が読めない女」なのかもしれなくて、
しかし、そういうふうに「女らしさ」が定義されるのがいやで、
じぶんをそういうふうに「女」のカテゴリーにいれられるのもいやだ。
このことに関してはいつも複雑なきもちを抱いている。
そのくせ、ひとりで夜に知らない場所をあるいて、まよったりして、
でも意地でたどりついて、
くたくたに疲れて帰る ということを、たびたびおこなうのだった。

さて、目的地はふたつ。
ひとつは、英子さんがつくっているミラーボールの展覧会場。
民族雑貨などを売っているお店の二階へと木製の階段をみしみしあがっていくと、
まるで屋根裏のひみつの部屋みたいなところで、いくつものミラーボールがゆめゆめしく
光をはなっていた。

ミラーボールにつかわれている鏡はすべて、英子さんの手でひとつひとつカットされている。
その器用さがみためにあらわれている、英子さんの手が好きだ。
いとおしそうにミラーボールを手で回して、ひかりがくるくるうごきまわるのをみつめる英子さん。うれしそう。
ここにこそ、英子さんのいちばんだいじな世界があるんだろうな、って思う。

2つめの目的地までの道を英子さんにおしえてもらったのだけど、
迷ってしまった。
ひとけのないところまで道をゆきすぎて、もう、あたりは漆黒の闇だった。
暗くて、さむくて、もう、かえってしまおうかなと思ったけれど、
やっぱりくやしいからずんずん歩いて引き返した。
こういうときにみつける目的地のあかりというのは、なんでこんなにあったかいのか。

ぶじにゆうこちんの絵をみることができた。
これもまた、料理やさんの二階へ、木製の階段をみしみしとあがっていく。
レイさんのすがたがここかしこにあらわれる。
ゆうこちんの絵は、なんというか、とてもこわい世界と紙一重のところにあるとおもう。
黒いクレヨンや黒い鉛筆だけで描いた絵、
アクリル絵の具を使った絵、
そのどの絵にも、真っ黒な指の跡がいっぱい、いっぱいついている。
描いているときのゆうこちんって、いったいどんな顔してるんだろう、と思う。

お菓子をもらっていっしょにたべながら、いろいろ話をする。
もうすぐ、広島で納骨をするんだということ。
「25日って、クリスマスじゃない。たいへんだね」と言うと
「うん、そうやねん。でも、クリスマスに納骨って、なんかたのしいから、いいねん!」とあかるく笑うゆうこちんだった。

あかねがやってきて、また、3人でお菓子をたべた。
あかねとゆうこちんのお誕生会をしたときのことをおもいだす。
ひるまからあきらの家で、ゆかちゃんやみどりちゃん、はなちゃんと一緒に料理を準備した。
レイさんもゆうこちんとやってきて、つくったジャガイモのグラタンをおいしいといって食べてくれた。
ゆうこちんとあかねに、おそろいの、いろちがいのブレスレットをプレゼントして、
ふたりの写真をとった。
暑い暑い夏だったから、ふたりとも、頬がピンク色にひかって、ちょっとこどもみたいで、
姉妹のようで、かわいかった。

今も、ふたりは姉妹のようにちかしい。