夢のなかで、油絵を描いた。
イーゼルにキャンバスをたてかけて、
ペインティングナイフをつかって、絵の具をもりあげたり、けずったりしながら。
色と色が、立体的に混ざる。
すこしグレー味かかった水色のような色で、
両剣水晶みたいなかたちのものを描いていた。
濃いブルーがまじったり、あざやかな赤い色がまじったり。
外に出て、首にかけた金の鎖がほどけかけているのをとめなおして、
「おかあさんが死んだことを、最近ついつい忘れているときがある」とともだちに話す。
ともだちとわかれて、日ののぼりはじめた道路を走りはじめたら、
道路の脇には雪がこんもりと積もっていて、
融けかけの雪が、走るわたしの靴にしみこんでくる。
重くなってくる足。
道路の脇に、こんもりと積もっているとおもっていたものは、人の死体で、
まだ少し息のある人が、わたしの足をつかもうとする。
それを振り払って、走っていた。