階段の下に、細長いつつみがおいてあるのを目の端でなんとなくとらえていたのは
おとといぐらいからのことだったのだけど、
それが宅急便で届いたつつみだということに気がついたのは今日帰宅してからのことで、
封が空いていないということは それはわたし宛てのつつみなのでは
ということに気づくのにまた少しの間があったのだった。
ごめんね、かな子さん。
だって、そんなものが届くなんて予想していなかったのだもの。
届いたのは、まるめた壁紙が2枚。
「美術館の壁はすべてその壁紙で覆われています」というメッセージがそえられていた。
このあいだかな子さんに会った時に、
美術館の壁はどんな壁なんですか という質問をしたせいだ と思い当たる。
「んー、画材によっては、発色がかわるみたいですねえ」とおっとりと答えてくれたかな子さんだったが、
間をおかないで、こんなことをしてくれる。
わたしはかな子さんと話すとき、あまり饒舌なおしゃべりはできないのに、
かな子さんは耳以外の部分をつかってわたしの発しているものを受けとってくれているようで、
わたしのなかにかたちにならないで存在している部分を、
「これじゃないですか?」って、つんつん、とつついてくれるのだ、
とてもさりげなく、ひかえめに。
このところ、だれかからの、そんなすてきなメッセージをうけとってばかり。
うけとってばかりだ。